2019(平成31)年2月運行開始。西神・山手線で約26年ぶりの新型で、神戸市営交通の新たな時代を牽引していく6000形。
◇車両
そもそも新車導入が具体的となったのは2015(平成27)年秋頃に出された「神戸市営交通事業経営計画2020(案)」での記載。次の通り書かれていた。
開業後 39 年以上を経過し車両・電気等設備の更 新時期を迎えた西神・山手線や開業後 14 年を経過して一 部の機器などの更新時期を迎えた海岸線において、新型車両の導入や電気設備・ 軌道など施設・設備を計画的に更新し安全性を確保します。
2016(平成28)年に開催されたB-FREE(交通フェスティバル)で車両デザイン候補3種類がお披露目され、会場内とWEBにて新型車両デザイン総選挙が行われた。総投票数8000票越えの熱い戦いの結果、得票数の高かったB案が採用された。

なお、6000形のデザインは従来車両の製造を手掛けた川崎重工業が行い、デザイン監修をKEN OKUYAMA DESIGNが担当した。
2019(平成31)年2月現在、6両×2編成=12両が製造されているが、2022(平成34)年度までに全28編成を6000形に置き換える予定となっている。
車体はアルミ合金ダブルスキン構造。シルバーの車体にグリーンのラインが入った丸みのある親しみやすいデザインに仕上げられている。各車両の車番表記は神戸市電時代からの『角文字』が引き続き使用される形となった。

これまでの車両は4M2Tだったが、6000形はMT比が3M3Tに変更されている。
前面灯は角形でLEDが採用された。
行先表示器はフルカラーLEDを採用。海岸線5000形のように、運番表示もされるようになった。
車両は川崎重工製で、今後全車両がこちらで製造される。
◇車内
車内は落ち着いた色合いとなっている。シートにはラインカラーである緑が取り入られいる。シートモケットは千鳥柄で一般座席は濃緑。優先座席はライトグリーンとなっている。
また座席はバケットシートを採用。座席間には仕切りとポールが取り付けられた。扉の間は9人掛け、車端部は4人掛けとなっている。扉間は10人掛けとしていた従来車両よりも座席1人あたりの間隔が広がっていることになる。
3000形で省かれていた乗降口そばのつり革がこの6000形では復活している。また、優先座席前のつり革は識別しやすいよう色が変わっており、従来は白色だがこの部分のつり革はオレンジ色になっている。
室内照明はLED間接照明を採用した。これまでの車両に付けられていた蛍光灯カバーは省略されている。
6000形では全車両に貫通扉が設けられた。この扉はガラス扉となっている。
6000形では神戸市営地下鉄として初めてLCD表示器を搭載している。乗降口上部には2画面で各17インチのモニターを搭載。右側モニターで4ヶ国語で各駅案内が表示される。左側モニターは広告表示等に利用される。
乗降口の扉は海岸線5000形と同様、戸閉減圧機能の付いたものとなっている。扉開閉時に点滅する予告灯も付いた。この車両では従来のドアブザーではなく、ドアチャイムが採用されている。(音色はJR東日本E233系車両などと同様)
今までの車両には各編成2両しかなかったフリースペース(優先スペース)が各車両の車端部に設けられた。(車いすスペースは従来通り3,4号車で変更ない模様)
乗務員室には客室内とは逆に、グレー色がベースのシックなつくりとなっている。運転台はツーハンドルタイプとこれまでの車両と変わらない。だが、神戸市交でははじめてとなるグラスコックピット構造となっている。この車両ではTIMS装置を採用している模様。
◇制御方式
従来車両と同様に主回路にVVVFインバーター制御を採用しているが、SiC(炭化ケイ素)素子応用したパワーデバイスを採用し、機器の小型化と同時に省エネ性能の向上が図られた。インバーターは日立製である。
◇その他
西神・山手線の車両では初めて車両両端部にスカートが取り付けられた。
これから2018年度に2編成、2019年度に7編成、2020年度に6編成、2021年度に7編成、2022年度に6編成が導入される予定。
◇車両主要諸元表
項目 | 諸 元 | |||||
車体 | 耐食アルミニウム合金製 ダブルスキン構造 [外板無塗装塗装 ヘアライン仕上げ] |
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形式 | 6100 (Tc1) |
6200 (M1) |
6300 (M2) |
6400 (T) |
6500 (M3) |
6600 (Tc2) |
定員[座席数](人) | 124[40] | 140[48] | 140[48] | 140[48] | 140[48] | 124[40] |
編成定員 | 編成合計定員808人 編成座席定員272人 |
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全長(連結面距離) | 18,570mm (19,000mm) |
18,500mm (19,000mm) |
18,570mm (19,000mm) |
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全幅 | 2,780mm | |||||
全高 | 4,055mm | |||||
車体重量(ton) | 29.5 | 34.1 | 32.0 | 25.6 | 34.0 | 29.2 |
運転性能 | 最大加速度 3.3km/h/S 減速度 常用 3.5km/h/S 非常 4.5km/h/S [最高速度 100km/h] |
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台車形式 | ボルスタ付軸はり式空気バネ台車 [ダイレクトマウント式](KW-216形) |
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主電動機 | 全閉内扇形三相かご形誘導電動機 170kW×4台/両 | |||||
駆動装置 | 歯車型軸継手平行カルダン駆動方式 歯車比 100/15=6.67 | |||||
連結器 | 両先頭:自動密着連結器・電気連結器 中間:半永久連結器 | |||||
基礎ブレーキ装置 | 隙間自動調整機能付ユニットブレーキ [片押し式踏面ブレーキ] |
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ブレーキ装置 | ATC/ATO装置連動応荷重装置付電気指令式電磁直通空気ブレーキ装置(遅れ込め制御) [Tc1、Tc2のみ駐車ブレーキ付] |
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制御装置 | VVVFインバータ方式 回生ブレーキ付 応荷重連動式1C4M制御 SiC素子適用 [M1、M2、M3に搭載] |
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自動列車制御(ATC)装置 | 高周波軌道回路連続誘導受信方式(車内信号機方式) | |||||
自動列車運転(ATO)装置 | 車上演算方式(トランスポンダ方式) | |||||
補助電源装置 | 静止式インバータ方式 150kVA三相440V SiC素子適用 [M1、M3に搭載] |
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空気圧縮機 | スクロールコンプレッサ 実吐出量1,360NL/min [Tc1、Tc2に搭載] |
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蓄電池 | アルカリ蓄電池 80Ah(1HR) [Tc1、Tc2に搭載] |
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集電装置 | ばね上昇、空気下降式シングルアームパンタグラフ 上昇検知機能付 [M1、M3に搭載 2台/両] |
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冷房装置 | マイコン制御式 22.0kW(19,000kcal/h) 2台/両 | |||||
暖房装置 | 客室:座席下吊下式シーズヒータ 乗務員室:ファンヒータ |
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非常通報装置 | 双方同時通話方式 2台/両 | |||||
列車無線装置 | 誘導無線方式 [非常発報・デッドマン発報・乗務員間連絡通話付] |
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戸閉装置 | 電磁空気式両開きベルト駆動型 戸挟防止減圧制御付 | |||||
車両情報制御装置 | 基幹二重系伝送 車上検査機能付 | |||||
行先表示器 | 正面(先頭車):フルカラーLED 1台/両 側面:フルカラーLED 2台/両 |
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車内案内表示器 | 17インチLCD×2面 3ヶ所/両 | |||||
客室照明装置 | 直管型LED照明 [20灯/先頭車 22灯/中間車] |
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その他装置 | 自重伸長型非常はしご [Tc1、Tc2運転台に搭載] |
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電気方式・軌間 | 直流1500V架空単線式・1435mm |